SALANT MENSWEAR GROUP. U.S.A. PRICE: $24.00

 セイブ・ザ・チルドレン・ドッグ・ショウ・タイ。アメリカ、サラント・メンズウエア・グループ社製。素材:絹100% 、価格:24ドル。この商品は9歳のキャサリンというアメリカの女の子が描いた犬の絵をモチーフにしたチャリティーネクタイです。
この商品の売上の一部は、世界中の子供たちの生活と教育環境の向上に貢献することを目的とした「セイブ・ザ・チルドレン」という団体に寄付されます。1919年イギリスに活動を始めた団体です。設立者はエグランタイン・ジェフという女性で、彼女が草案した " Declarration of the Rights of the Child"(=「こどもの権利宣言」)は1948年に国連において「ジュネーブ児童権利宣言」として採用されています。エグランタイン・ジェフ女史はオックスフォード大学を卒業し、小学校の教師となりますが、健康上の理由で2年足らずでその職を離れることになります。しかしその短い間でも子供たちから語り尽くせないほど多くのことを学んだと、のちに彼女は語っています。この時の経験がその後の彼女の活動に少なからず影響を与えたのでしょう。
 75年も経った現在では、世界で25カ国が「セイブ・ザ・チルドレン」の運動に参加し、100カ国以上を対象として年間400億円規模の救済プロジェクトを実施するくらい大きく成長しました。
話は変わりますが、ネクタイの歴史をたどってみると、帝政ローマ時代の軍人が首に巻いたフォカーレというスカーフのようなものに行き着くらしいのです。(*「衣の社会学」加藤秀俊著、文芸春秋刊参照)しかもヨロイの上からしていたということなので、実用性と言うよりは目印やお洒落用のものであったと推測できます。そして17世紀に入ってフランスのロワイヤル・クラヴァット連隊の兵士が襟元に巻き付けていたスカーフをヒントに、パリの紳士たちがファッションとして取り入れたのが現在の装飾品としてのネクタイの始まりのようです。その証拠にフランス語でネクタイのことを " cravate " (クラヴァット)と言います。もともとは軍人のものが現在の " 働く戦士 " であるサラリーマンのシンボルになっているのは、なんとも皮肉な歴史ですね。
 さて、たくさんの犬たちが登場するこの商品の絵柄のタイトルは「ザ・ドッグ・ショウ」。色が豊かに使われている絵はとてもきれいで犬たちも可愛い。9歳の女の子の素朴で純粋な感性に感心させられます。キャサリンと彼女の描いた犬たちが、このようなかたちで世界の子供たちに貢献できるなんて、素敵です。
雑誌『WAN』(ペットライフ社刊)1996年7月号掲載