U.S.A. PRICE: $ 5.00

 スナッピィ・トレーナー。 アメリカ製。全長約 20 cm、素材:プラスチック+木。価格:5.00ドル(1袋3個入り)。これはイヌのしつけ用“仕掛け”です。ソファ、ベッドの上や、入ってはいけない部屋の入口や花壇などに置き、イヌがこの仕掛けを踏むと赤いプレートの部分がネズミ捕りのようにバチンと跳ね上がって、イヌをびっくりさせ、近付けさせないようにするのです。この商品名のスナッピー(SNAPPY)は“バチンと跳ね上がる=スナップ (SNAP)”から来ています。この商品が面白いのは実にアメリカン・コミック的であることだと思います。あの動物が主人公のドタバタアニメに出てきそうなコミカルなアクションとそれに驚くイヌの表情の可笑しさが想像出来るようです。この商品のパッケージにはハリウッドの有名なブリーダーが「人道的に愛犬をしつける最良の道具です」と写真入りで推薦文を載せています。さらによく見ると、跳ね上がる仕掛けの部分は市販のねずみ捕り機をそのまま利用しているにもかかわらず、ちゃんと実用新案も取っています。このように冗談のような商品に大真面目に取り組んでいることも、いかにもアメリカらしいところです。
 ところで「びっくりさせる」といえば、ビックリ箱のことを英語で『 JACK IN THE BOX 』(箱の中のジャック)と言います。このジャック(男性の名前でJOHN:ジョンの愛称)を調べてみると、動植物(猿、うさぎ、ロバなど)の名前に多く使われているに気がつきます。[例えば『 JACK IN A BOTTLE 』(ビンの中のジャック)=エナガドリ。]ジャックはどこにでもいる身近な存在の総称と考えられ、自然界の生き物をこの慣れ親しんだ名前を付けてで呼ぶことで、より人間に近い存在にしていたのではないでしょうか。このような自然に対する擬人化は日本語にもありますが、英語のジャックほど幅広く使われているものはないよう思われます。
 さてこの商品の実用的効果ですが、我が研究所の助手犬Rに試してみたところ、跳ね上がるプレートにびっくりするどころか、じゃれて楽しそうに遊んでいました。一応報告まで。
雑誌『WAN』(ペットライフ社刊)1995年5月号掲載