ジル・エリオット先生のホメオパシー入門 その5

世界中の愛犬家のみなさん、こんにちは


少なくとも私が住むニューヨークまで、春がついにやって来ました。屋外で楽しく過ごしたり、もっと活発ななライフスタイルにまた戻れたりできるので、わが4本足の友人たちにとっても最高なですね。多くの犬(とその飼い主の一部)は寒い季節の間に余分な体重を身につけてしまったでしょうから、それを減らすときでもあります。

愛犬の健康に保つために、春には気をつけなければならないことがいくつかあります。犬にとってはダニが出始め、ノミのシーズン、フィラリアのシーズンの到来です。

フィラリアは蚊によって犬(そして屋外でくらす猫)にうつされます。暖かくなり始めたばかりの地域にお住まいなら、フィラリアの血液検査を受けるために、かかりつけの獣医の元へ出かけましょう。(外に出かけていく猫を飼っているなら、その猫にフィラリア予防薬を飲ませることについても、獣医師と話し合いたくなりますね)

アメリカの犬の飼い主の多くは、犬に一年中フィラリア予防薬を飲ませ続けていますし、一年中暖かい地域にお住まいなら、愛犬(あるいは愛猫)に同じようにすることを考えてみるべきです。けれども昨年、暖かい時期にだけ犬に予防薬を飲ませ、その後薬をやめたということでしたら、獣医師の元を訪れて血液検査を受け、ふたたび薬を再開するときです。『インターセプター』と『ハートガード』の2つは、代表的なフィラリア予防薬です。しかしながら、同時にノミやダニから守ってくれる新しい薬がいくつか出てきています。ですから、あなたとあなたの犬にどれが最適か獣医師と話し合いましょう。

ノミとダニの予防についていえば、たくさんの製品が市場に出回っています。アメリカでは、例えば『アドバンテージ』(これはノミの予防のみ)と『フロントライン』(ノミとダニの予防)があります。新製品の『フロントライン・プラス』はより効果的になっていることでしょう。さらに、犬にノミが付いた場合に1回だけ用い、使うと24時間以内に全てのノミを殺し、その後薬は犬の体から消える、とうたった新製品まであります。こういった薬はすべて必要なときだけに犬に用いるものです。今こそ、これらの様々な薬のいい点悪い点両方について、地元の獣医師と話し合う時期です。

あなたが庭で犬を飼っていて、その犬がノミを増やしているという場合、難しいのは環境をクリーンに保ち続けることです。目新しいやり方でこの問題に取り組んでくれる製品がいくつかあります。ネマトーズ(線虫)を試しに使ってみましょう。これはノミの幼虫と繭を喜んで狩り、破壊してくれる生物です。その一つ『バイオ・フリー・ハルト』はペット用品店で購入できる製品です。獣医師の元で売られている場合、同じ製品は『インタラプト』という名前です。このような線虫は、「駆除」しようとしている場所に4週間に一度撒くようにしますが、線虫のおかげで地面が乾きすぎてしまわないように、(メーカーは)特別な水撒きのしかたを指示しています。別のメーカーとして『バグ・バディーズ』電話:アメリカ1-800-210-BUGS (2847)があります。彼らは実に様々なタイプの生物学的昆虫管理の方法を提供しています---biotomaceous earthだけでなく、ネマトーダやあらゆる種類の有益昆虫です。

彼らは、良質で知識にあふれたサービス、そして様々な競争できる価格の商品を供給しています。私はこれらの商品を利用したことはありませんが、クライアントにこの会社をすすめている、他の獣医たちから教えてもらいました。

この文章をお読みになった方で、これらの製品を試してみようとお決めになった方がいたら、心より感謝します。よろしければ、どうだったか、庭や敷地にいるノミがコントロールできているか、メールなどで教えてください。



読者からの質問1(雷恐怖症)

ここ数ヶ月、読者のみなさんからたくさんの質問をいただいました。皆さんの多くは同じ事柄について疑問を持っていらっしゃると思います。そこで、今回はこういった質問について、皆さんに向けてお答えしたいと思います。

最初のお手紙はマイケルからのもので、特に雷雨の多い春、犬の飼い主が直面するよくある問題を取り上げています。



ドクター・エリオット、こんにちは。

春が近づいていますが、春といえば雷と稲妻の季節です。私の犬ジェイクは10歳で、4年くらい前まで雷については大丈夫でした。今彼は雷の気配が少しでもあれば、完全におかしくなってしまいます。私と一緒にベッドにもぐり(彼はたっぷり45kgもあるんです)、ブルブル震え、ゼイゼイあえいで、雷が通り過ぎるまで落ち着くことができません。この問題に役立つホメオパシーのレメディは何かありますでしょうか? もしあれば春の雷のシーズンの間、予防として彼に飲ませることができます。ジェイクは雷雨の間本当に苦しそうで、何とか助けてあげたいんです。よろしくお願いします。

マイケル



マイケル様

たくさんの動物たち、特に犬たちが抱えている、本当に大切な問題に光を当ててくださり感謝します。雷に対する恐怖は大きな問題となりえるものです。ご存じのように、私は雷が大嫌いな13歳の犬とくらしていました。よく与えていた鎮静剤が効いてくるまで、私は彼を30分も抱いていたものです。外出する予定の日に今日は雷が来るなと思ったら、家をめちゃくちゃにしたりケガをしないように、一日中彼をクレートに入れておかねばなりませんでした。たいへんでした。ですから私はあなたのお気持ちがよくわかります。他の健康上の問題のため、私は彼にホメオパシーの治療を始めました。信じられないかもしれませんが、ホメオパシーの治療を始めて数ヶ月後、彼の雷恐怖症は完全に治ってしまいました。これではあなたのご質問に対して、遠回りな回答ですね。ホメオパシーはこの種の犬の恐怖症を完全に直すことができます。あなたの犬について、あるいは彼の体調や性格について、私は何一つ知りません。けれども、ご自身の手で恐怖を癒してみたいとお思いなら、次の形で試されることをご提案したいと思います。

フォスフォラスPhosphorousを1回30C(3粒)与えます(食事やオヤツを食べていないとき口の中に入れてください)。それから、数週間に渡るかもしれませんが、待ってください。そして次に雷が来たときに何が起こるのか見てください。彼がすっかり興奮してしまうなら、興奮し始めたとき、もう一度、服用させることができます。その後彼の恐怖や行動が少しも軽くならない場合は、別のレメディを試すことができます。もうひとつのレメディ、アコナイタム・ネパリスAconitum nepalis 200Cは家に置いておき、犬が非常に恐れているように見えるときに、いつでも与えてください。アコナイタムはおびえている状態の動物に非常に適しています。3粒だけ与え、少し様子を見てください。何の反応も見られないならば、15分置きにあと2回服用させることができます。3回服用後何も反応が見られない場合は、お持ちならもっと高いポテンシー(希釈度)のもの(1M)を少なくとも1回か2回与えることもできます。

何も起こらないとしたら、いくつかの原因が考えられます。たぶんその犬は高いポテンシーのものが必要なのか、あるいはレメディが合っていないのです。アコナイタムは救急用レメディとして使われています。フォスフォラスはもっと深いところへ作用するレメディです。言うなれば根本レメディです。その犬の基本的な体質に作用するということです。この問題に役に立ってくれるレメディは他にもたくさんありますが、本当に効果を上げるためには、その犬のケース全体を考えて、分析しなければなりません。ここにあげたおすすめのレメディが役に立たなかったら、あなたのお住まいの地域にいる動物専門のホメオパスに助けを求めてください。私自身の目で目撃したことですから、必ずやこの問題は直すことができると信じています。あれは本当に驚くべきことでした。12年早くこれを知っていればよかったのにと思うばかりです。



読者からの質問2(股関節の問題)

次の質問はデビーとロスから来ました。彼らの愛犬ロスについてのものです。ロスは話によると股関節形成不全で苦しんでいて、修復するための外科手術も受けていました。


ロスは13歳で、腰の球窩関節を切り取る手術を受けてからおよそ6年が経ちました。彼は筋肉だけで動き続けていて、腰が少しずつ弱ってきています。彼はまだ生き生きしていて、移動することもできますが、腰がこわばっているので、疲れているときは立ち上がる際に困難を感じているようです。私が外(我が家には馬の飼育場があります)にいるときに、彼は休んでいたがりません。彼に合うホメオパシーのレメディを教えていただけますか? 友人がラストックスrhustoxがいいと教えてくれましたが、もしそれでいいなら、どれくらいの量をどれくらいの頻度で与えたらいいのか教えてください。

ロスとデビーより



ロス様 デビー様

股関節の問題を抱えている犬の多くは、あなたがおっしゃった外科手術を受けています。この手術の前後には、犬の体重を普段より少し軽くキープすることが非常に大切です。できるだけ腰にかかる負担を軽くしてやるためです。この障害に苦しむ犬の多くは、初めから太りすぎています。ですから最初にすることは、もしあなたの犬が太りすぎている場合、もしくは普通の体重である場合でも、犬のダイエットをすることです。(体の表皮と肋骨の間にたくさん脂肪がついていなくて、わずかに肋骨を手で感じることができる状態でなければなりません)
ホメオパシーのレメディは、この障害を楽にしてくれます。ラストックスは効果のあるもののひとつです。立ち上がるときや行動を始めるときに最も問題があるけれど、一日の終わりには幾分よくなっているように犬が見えるとき、処方されるものです。役立つレメディは他にもたくさんあります。けれども、ラストックスからお始めになりたいのなら、30C(1回に3粒)を服用することから始めましょう。1回だけ与えてみて、1週間様子を見て、彼の動きに変化があるかどうか観察します。繰り返し与えても大丈夫ですが、時々ホメオパスに判断してもらいながら繰り返すのがベストです。けれども、1週間に1回の服用で何も改善が見られない場合は、もう一度服用させてみてください。もう1週間たっても改善が見られないならば、3日間毎日与えてみましょう。それでもまだ改善が見られないとしたら、おそらく間違ったレメディであるということでしょう。訓練を受けたホメオパスは、そんなときもっと高いポテンシーのラストックスを試してみるのがいいのか、別のレメディに変えるのがいいのか、吟味してみます。あなたが求めていらっしゃることの中には、あなたの犬の精神状態があります。レメディが作用し始めている兆候として、多くの場合、(体の変化が見られる前に)その犬の心的態度に改善が見られます。例えば、犬が前より遊ぶようになったり、いつも幸せそうに見えたり、眠るのが少なくなったり、家の中で家族とよく関わり合うようになったり、他の動物と遊ぶようになったりしているように見えることでしょう。これは、レメディが感情のレベルで積極的に作用していて、続いて肉体のレベルにも作用していくことを示しています。このような改善が見られるなら、様子を見て、レメディにもっと深く作用していくチャンスを与えましょう。ホメオパシーにおいては、難しいことですが、頻繁にレメディを繰り返す前に、じっと待って様子を見る方がいいのです。もちろんペットが必要以上に苦しんでいるのを見たくはないのですから、時に素早い反応を心待ちにしている飼い主にとってはたいへんなことですが。
ラストックス30Cを1回服用させてから1週間待ち、その後犬の心的態度と体調を吟味してください。変化が何もないなら、ラストックス30Cをもう一度服用させ、もう1週間待ちましょう。まだ変化が何もないなら、3日間続けて1日1回服用させてみてください。それでもまだ変化がないなら、ラストックスを中止しましょう。お気軽に私にメールを下さり、どうなったか教えてくださいね。
何か分泌物が出たり、レメディのマイナスの効果があったら、服用をやめ、何が起こっているのか観察してください。これはレメディが何らかのレベルに作用していることを意味していますので、落ち着くまで待ち、それから何に作用したのか判断してください。

またお気軽にメールを下さり、ロスがどうしているのか教えてください。



読者からの質問3(脂肪腫)

最後の質問は、もう一人のデビーから来ました。彼女の犬のしこりやこぶについてのものです。

しこりに効くレメディはありますか?
獣医によれば、私の犬の体中に、しこり(悪性腫瘍ではない)ができています。
彼が言うには、しこりがよく動くので、ただの脂肪の固まりだということです。
しこりが私の犬に害を与えているとは思っていませんが、しこりに触れると犬は不快なようです。
よろしくお願いします。


こんにちは、デビー。
あなたがお話になったしこりは、脂肪腫だと思われます。脂肪腫は犬の体のどこへでもできてしまいます。脂肪腫は良性で、やわらかな脂肪の固まりです。普通それ自身の皮に包まれていて、皮膚の下にあります。時には非常に大きく成長します。大きさのせいで、犬の歩行を妨げたり痛みを生じさせたりした場合、外科手術で取り除きます。
けれども、原因について何もわかっていないなら、スージャThuja 30Cを与えてみることができます。最低1回(3粒を口の中に入れてやる)このレメディを与えてください。何らかの反応があるかどうか見るため、3〜4週間様子を見ましょう。犬がよく反応しているようなら、すぐにもしこりが無くなっているのがわかるでしょう。あなたがおわかりになるのは、元気が出てくることで、犬はより幸せそうになったり、食欲が増したり、という風に見えると思います。これはレメディが正しい方向に作用しているということを意味しています。約1カ月後にもう一度服用させることができます。その後彼がもっと幸せに見えるかどうか、また様子を見ます。レメディが正しく作用しているなら、加えてしこりのいくつかが小さくなっているのが見られると思います。長期に渡って治療をし、レメディに対する愛犬の反応を説明してもらうため、あなたは動物専門のホメオパスにコンタクトを取りたくなるかもしれません。ホメオパシーを使うと、レメディを次に服用するまで、最低1〜2カ月も待ちたくはないとは思いますが、待って様子を見る方が必ず効果的です。ペットに頻繁に与えるよりもいいんです。こういったタイプのしこりについてのホリスティックな見解は、過剰なワクチンによってできることがあるということです。ですから不要なワクチンは取りやめてしまうことをおすすめしたいと思います。ニューヨーク州では受ける義務のあるワクチンは、狂犬病ワクチン(3カ月齢で最初に受け、その1年後に受け、その後は3年ごとに受けさせます)だけです。子犬用の一連のワクチン以降、他の全てのワクチンについては、かかりつけの獣医師と話し合って決めましょう。



これからもこういった素晴らしい質問をしてください。取り上げた質問は全て、他のたくさんの飼い主のみなさんが直面する、重要なテーマや問題に光を当ててくれました。

楽しい春のホリデイ・シーズンをお過ごしください。

Jill Elliot, DVM
ジル・エリオット
獣医学博士

Happy Tails Holistic Veterinary Services
New York City, New York