ジル・エリオット先生のホメオパシー入門 その4

世界中の愛犬家のみなさん、ア・ハッピー・ニュー・イヤー


みなさんとみなさんの毛の生えたの四つ足のコンパニオンたちに、新年―2001年―おめでとうと心を込めてお伝えしたいと思います。みなさんにとって、ひときわ明るく平和な年になりますように。

私の地元、アメリカのニューヨーク市では、12月30日土曜日は一日中雪でした。夕方には雪は止みましたが、11インチ(訳注:約30センチ)も積もっていました。降り積もった雪を見て、ペットが遭遇する様々な冬季の事故や危険について思いを巡らしました。世界には雪の降る冬を経験しないところもあるでしょうが、そんなところに住む人もいつの日か雪の降る国を訪れるやもしれません。それにこれから述べるようなヒントを知ることによって、その他の事故や危険についても考えて、あなたの犬がケガをしたり不快な思いをしないように事前に工夫を凝らしてほしいのです。



雪による事故

まず最初に雪について話しましょう。大型でロングコートの犬の多くは、間違いなく雪が大好きです。私は14歳半まで生きた犬をかつて飼っていました。彼は3年前に「霊界」へ旅立ちました。名前はリカティ・スプリット(訳注:全速力で、の意)で、犬種はキースホンドでした。コートは2倍の厚さがありました。先日のような天候の日には、彼は最高にご満悦でした。もし彼がここにいたら、顔を雪にこすりつけて溝を掘り、一番高い雪の小山に顔を突っ込んでいたことでしょう。あの雪の日には彼の思い出がとても強くよみがえりました。

さて、みなさんはこんなに雪を楽しむロングコートの犬を飼ってはいないと思いますが、雪がちらちら降り始めたらコンパニオンと大いに楽しまれるはずです。



注意すること

 ニューヨーク市やその他の土地では、たくさんの人が雪を溶かすために塩をまいたり、雪を積み上げたりしています。この岩塩は犬にとってとても危険です。塩のつぶが足の間に入り込み、痛み・かゆみ・灼熱感を引き起こし、歩いたり走ったり飛んだりするとダメージを受けます。雪の中を犬と歩いていて犬が鳴き声を上げ始めたら、足の間に塩が入り込んでいる可能性を疑ってください。散歩に行くときに布を持ち歩けば、足やパッドのすき間に入り込んでいる塩をふき取ることができます。

 家に入るときには、たとえ何の問題もないようでも、水分やついているかもしれない塩をふき取留のを忘れないでください。また、もし可能であれば、ドアのそばにぬるま湯の入った桶を置いておき、帰宅してすぐに犬の足をその中に浸し、塩を溶かしてやることもできます。その後犬の足を拭き、家の中を走り回らせる前に乾かします。

 もし犬のパッドの間に塩が入り込み痛みを感じているようである場合、その痛みは塩が引き起こす灼熱感のせいかもしれません。冬の間、次にあげる「熱傷」(本当の意味での熱傷、または足の指やパッドについた塩のせいで犬が感じる灼熱感を指します)向けのホメオパシーのレメディをお手元に置いておくのもいいと思います。
a アルセニカム・アルバム30C(灼熱感により効果的です)犬が経験しているであろう症状は、寒気、落ち着きのなさ、それにおそらくのどの渇きでしょう。足は腫れ痛みがあるでしょうし、潰瘍があるかもしれません。事態によって犬がよりウツ状態になったら、湯に浸してきれいに拭いて足を清浄にした後に、このレメディを与えることを考えてください。 
b カンタリス30C(熱傷が起きたときにいい)水ぶくれがあるかもしれません。こんな状態にあるならば、冷たいものを塗ることでずっとよくなるかもしれません。
c ウルティカ・ウレンズ(スティンギング・ネトルズ、イラクサ)ティーは痛みやかゆみがある熱傷のときに局所的に用いることができます。30Cを1回内服すると、1度の熱傷の炎症をよくおさえます。
ところで、これらのレメディは犬が本当の熱傷(ヤケド)を負ったときにはいつでも治療に用いることができます。
これらのレメディやこのセクションで登場する他のいくつかのレメディは、ドン・ハミルトン著『ホメオパシック・ケア・フォー・キャッツ・アンド・ドッグズ』(North Altantic Boos, Berkeley, California, 1999)を参考にしていることにご注意ください。

4 雪を楽しむ犬は結構いるとしても、雪の中を散歩するのを楽しまない犬もおそらくたくさんいるのではと思います。私は土曜日にシェルティ(長毛の小さなコリー的犬)が通りを横断するのを見ました。犬が足を持ち上げたり滑らせたりしている様子を見れば、散歩を楽しんでいないことは明らかでした。こんな犬たちのため、散歩の時には注意してください。こういう犬は足を滑らせやすく、ケガをしやすいのです。雨や雪の日に犬に履かせることができるゴム製の犬用ブーツを置いている店があります。多くの犬はこんなブーツを足に履かせることを許してはくれないでしょう。たとえ靴を履くと犬がイライラするとしても、試してみる価値はあります。もしあなたの犬がブーツを許してくれれば、ブーツは犬の足を塩粒からも守ってくれるでしょう。足にフィットして快適でいられるよう、必ず正しいサイズのものを手に入れてください。



雪遊びによるケガ

 もちろん、雪の積もった場所で走ったり遊んだりすると、どんな犬も足や脚部のケガをしがちになるでしょう。足首を捻挫したり、穴に足がはまったりするかもしれません。どんなケガの場合にも、最初の兆候が見られた時点で、ホメオパシーノレメディ、アルニカ・モンターナ30C(2〜4時間置きに全部で3回服用)を試してみることをいつもおすすめしています。24時間経ってもよくならない場合は、足を獣医師に診てもらってください。しかしながらアルニカは驚くほど効果を上げてくれます。

 ショートコートの犬を忘れないようにしましょう。彼らの場合、寒さそのものが問題となるでしょう。(一部のロングコートの犬も寒さに敏感ですが、そんなにあることではありません)ショートコートの犬にはセーターを着せ、あまり長時間外にいないようにしましょう。犬を見れば寒がっているかわかるでしょう。こういう犬の多くは寒さを感じるとぶるぶる震えます。また、雪が降っているとき、寒いとき、あるいは雨のときには、彼らは外出するのを嫌がるかもしれません。できる限り彼らの意志を尊重しましょう。

 私の犬リカティは雨の時、特に雷雨の時には、外出するのをひどく嫌いました。そんな天気の中出かけていかねばならないとしたら、彼は24時間排尿排便をがまんすることが実際にできてしまいました。ですから私は彼を尊重し、家にいさせたのです。家あるいは新聞紙での排泄のしつけがきちんとできている小型の犬は、ただ家にいることができるでしょう。もしあなたの犬が外に出るのを控えるときは、その目的がいったい何なのかを突き止めるようにしましょう。セーターやレインコートやブーツを着せてみて、これらのものがどう影響するかを見てみるという実験をしてください。犬の中には雨音などを恐れるものがいます。この場合、ホメオパシーの獣医師に助けを求めることができます。多くのホメオパシーのレメディは、騒音・雷鳴・自動車の接近などを恐れる犬を治療することができます。



危険なまでの寒さ

 私は私の犬の晩年、彼の雷雨や稲妻への恐怖を実際に直しました。あるひどい嵐の夜帰宅して、私自身全く驚きました。家はめちゃくちゃにされているところだろうと思っていたからです。その代わり、彼が居間の真ん中に静かに横たわり、心地よさそうに私を見上げているのを見つけたのです。私は彼の別の肉体的な病気を治療しているところで、それは改善しつつありました。ホメオパシーのレメディで治療しているときには、「犬全体、精神的そして肉体的症状」を治療しているのだということを私自身忘れていたのでした。私が選んだレメディの効能の一つには、「雷雨に対する恐怖」がありました。そして彼の長年の(13年間!)の恐怖を確かにすっかり直してしまったのです。 彼にとって、そして私にとっても、なんてほっとしたことでしょう。このことがあって、ホメオパシーは、従来の薬が取り扱うことができなかったたくさんの様々な健康状態を治療する方法だということを、私はすっかり確信したのです。ではこの辺にしてテーマに戻りましょう。

9 もしあなたの犬があまりに寒さを感じていて、そのとき屋外にいる場合は、体を温められるように、一番近くのお店に連れて行きましょう。ニューヨーク市のほとんどの店主たちは、動物の苦しみに対してとても理解してくれています。あるいは、田舎にいる場合には、犬を近くに車があるなら車、自宅よりも近くに家があったらその家に入れてください。犬をドライブに連れて行き、開けた野原や森で走り回らせようというつもりなら、車の中に予備の毛布やシーツを乗せておくと重宝します。これを使って、犬が濡れているなら拭いてやり、犬が冷えているなら温めるために巻いでやることができます。

10 犬がぐったりして顔色が青くなっているようなら、カルボ・ベジタリス(6Cから30Cまでのもの、200Cまたは1Mがいい)というホメオパシーのレメディが非常に効果的です。これは衰弱した動物や人間の生気をよみがえらせるために用いられています。(緊急時には服用量はあまり関係ありません。しかしながらどれを持っていたらいいかというと、私は30Cをおすすめします。これはほとんどの店で置いています)これを携帯したりいつも家に置いておくことをおすすめします。決して必要になることはないかもしれませんが、一度でもそれが必要になったら持っていたことを幸運と感じることでしょう。(ホメオパシーのレメディをしまっておいたり持ち歩くときには、冷蔵庫・電子レンジなどの電化製品、携帯電話などのデジタル機器から離しておくことを忘れないでください)犬の口の中に2分おきに2〜3錠入れるてください。これをしながら、犬を抱き上げ、一番近くの動物病院へ急いで連れて行ってください。もしカルボ・ベジタリスが効くという幸運がついていれば、病院へ到着するまでに、犬は起きあがり気分がずっと良くなっているでしょう。衰弱の一因となったかもしれないあらゆる要因を除外するために、獣医師は犬を診察する必要があります。



熱傷と熱傷用レメディ

11 冬季のもう一つの問題は、あなたの家の暖房システムかもしれません。家に暖炉あるいはヒーターがあるならば、犬が近づかないようにしておくことを忘れないでください。ここでもまた、犬が暖房機器に近づきすぎると、彼あるいは彼女が(正真正銘の)ひどい熱傷を負うことは確実です。もしそうなったら、上に挙げた熱傷用のレメディが適しています。

12 上に挙げたホメオパシーのレメディに加え、小さなヤケドの場合なら、冷たい水の代わりに、優しいぬるま湯を塗ってもいいでしょう。ぬるま湯は血行を促して治癒のプロセスを早めます。本当のヤケドの場合、適切なホメオパシーのレメディを与えた後、症状が全く軽くなっていないようなら、チェックを受けるために犬を地元の獣医師のところに連れていくべきでしょう。

13 多くの人たちには、犬の具合が悪くなると2〜3日様子を見てから獣医師のところへ連れて行く傾向があります。犬の病気を疑い、それが24時間経っても消えないようなら、犬を獣医師のところへ連れていくことを私はおすすめしたいと思います。少なくとも獣医師に電話をかけ、どんな問題があるのかを伝えてください。犬を連れて行くべきかどうか、あるいはもう一日二日待てるのかどうか、獣医師の意見を聞いてください。犬ではなく幼い子供だったら、あなたはおそらくそんなに待っていないでしょう。あなたの常識を働かせてください。もちろん近くに獣医師がいない場合は、家庭でできる限りのケアをしてください。



役に立つウェブサイト

(以下の情報は、Veterinary Medical Association of New York City, Inc.によって集められ、マンスリー・ニュースレターの2001年1月号に掲載されたものです)

今回の文章を終える前に、一部の読者の方に役立つと思われるウェブサイトについてお話ししたいと思います。今回の文章の中で恐怖を抱いた犬について短く触れました。しかしながら、分離不安、不適切な排泄習慣、破壊行動、攻撃性など、多くの行動上の問題を持った犬はたくさんいます。私の地元の獣医師協会は、最近このウェブサイトについて掲載したニュースレターを送ってきました。アニマルシェルターやその他の収容施設への入所を断念された、たくさんの犬(や猫)を減らすための試みとして、ブライアン・キルコモンズさん(有名なトレーナーで"Good Owners, Good Dogs""Childproofing Your Dog""Good Owners, Great Cat"などの著者)は、この新しいサイトを開設しました。
www.greatpets.com は、飼い主と獣医師のための頼りになるサイトです。ここでは問題行動に対する専門家の信頼できる解決方法を提供しています。バナー広告を通して資金を得ているので、このサイトにはEコマースへのリンクはありません。

このウェブサイトには、ペットの飼い主が質問を書き込み答えてもらえる掲示板があります。近い将来、特定の犬種についてあなたが知りたいことから、猫のスプレイ行為を止めさせる方法まで、「ありとあらゆるものに関すること」を見つけられるようになるでしょう。もしこのウェブサイトが役に立ったら、ぜひ私に教えてくださいね。読者の方からのご意見・ご感想をみなさんで分かち合えたらうれしいです。そうすればみなさんの力でこのサイトをもっと素晴らしいものにしていけるでしょう。

あなたに役立つもう一つのサイトは、
www.petbehaviorproblems.com です。ここは獣医師のエイミー・マーダー、ジョーン・エンゲル、ヴィクトリア・ヴォイスが主宰していて、有料でファックスや電話による相談を受け付けています。

クリスマス・ホリデイは、たくさんの家族が新しい子犬を家に迎えようと決めるときでもありますから、これらのウェブサイトは特に役に立つでしょう。もし実物の訓練士に教えてもらいたいと考えているなら、キルコモンズさんは、子犬のトレーニングをグループで早く始めることは、飼い主とペットにとって同じように役立ち楽しいものになる、と薦めています。トレーニング方法は人道的なものであるべきです。トレーナーは経験豊かかつ倫理的であり、ペットと飼い主のニーズに合わせて選べる様々なトレーニング方法を知っているべきです。

2001年の初め、この年が愛、幸福、健康、平和を連れてきてくれ、世界中で動物たちに対する倫理的な扱いがより増え、気づきが起こるようにるように祈りましょう。

Jill Elliot, DVM
ジル・エリオット
獣医学博士

Happy Tails Holistic Veterinary Services
New York City, New York


よい行いをしましょう

ここは愛犬家に捧げられたサイトですが、最近誰かが私にこんなサイトについてメールを送ってきました。大型のネコ科動物の写真をクリックすると、1.8エーカー(訳注:2200坪)の BIG CAT HABITAT(訳注:大型のネコ科動物の大居住地)を無料の寄付によって作ろうというサイトです。http://bigcats.care2.com/ に行ってください。お望みならこのサイトで一日一回クリックすることもできます。かけがえのない大型ネコ科動物の環境と故郷を守るために、このサイトをおすすめします。ところで、私は世界中の読者からたくさんの質問をいただいています。できる限り多くのご質問にお答えしようと思っています。そして驚くことではありませんが、たくさんの方が飼っている猫についても質問をしています。世界にはたくさんの犬と猫のルームメイトがいるということですね。